Q.
蚊が人を刺します。その人が例えば、肝炎ウイルスなどに感染していた場合、次の人を刺したら、その人には、ウイルスが感染してしまいますか?
A.
たとえばデング熱という病気は、ネッタイシマカという蚊がウイルスを媒介して感染します。あるいは、ハマダラカという蚊がマラリア原虫を媒介してマラリアが感染します。かつては日本には日本脳炎という病気があり、これも蚊が媒介するものでした。このように、現在でも一部の熱帯地域においては蚊が感染の原因となっている病気があり、その予防や対策が重要になっています。肝炎は主に患者の血液を直接体内にとりこんだりした場合にかかるので、蚊が原因になることはありません。蚊は人を刺す時に、血液が固まるのを防ぐために血が固まらないための唾液を人の体内に注入します。しかし、蚊は一度吸った人の血液を栄養として消化し、吸収してしまうので、次に刺された人に、前に吸った人の血液を注入するようなことはしません。蚊を介して病気が感染するのは、人の血液と共に蚊の消化管の中に入った病原体(ウイルス、細菌、原虫など)が蚊の体内で増殖し、唾液腺に移動して蚊の唾液の中に含まれている場合に限られます。 (蚊の研究室:池庄司敏明 コンテンツプロデューサー:赤池学)